Y’s distraction GTNET GT-R、2位表彰台でシーズンを締めくくる
ピレリ スーパー耐久シリーズ2018第6戦(最終戦)は、11月3〜4日に岡山国際サーキット(岡山県)において3時間レースとして開催。予選6位からスタートしたY’s distraction GTNET GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗)は、60kgのハンディウェイトを搭載しながらも堅実に走りきり2位表彰台を獲得。チャンピオン獲得のシーズンを好結果で締めくくった。
岡山国際サーキットは、かつて”TIサーキット・英田”と呼ばれ、90年代にはF1パシフィックGPが開催されたこともあるコース。しかしコース幅は狭く、またタイトなコーナーも多く、なかなか抜きどころの少ない難しいコースでもある。今回は全8クラスに58台がエントリーしたこともあり、Gr-1(ST-X、Z、TCR、1、2、3クラス)とGr-2(ST-4、5クラス)に分け、それぞれが3時間レースを行うこととなった。今回Y’s distraction GTNET GT-Rのハンディウェイトは60kgと重く、またミッドシップのアウディやランボルギーニが得意とするレイアウトなため、苦戦が予想された。
今回ST-Xクラスに参戦したのは、NISSAN GT-R NISMO GT3が3台、アウディR8 LMSが2台、レクサスRC F GT3、メルセデスAMG GT3、ランボルギーニ・ウラカンGT3が各1台の計8台。既に今季のタイトルは確定しているが、最終戦ではチャンピオンらしく最低でも表彰台を獲得しておきたいところだ。
公式予選は3日午後に行われ、A、Bドライバーのベストタイム合算で争われた。ジェントルマンドライバーのAドライバー予選で浜野が6位。プロ(プラチナドライバー)のそろうBドライバー予選でも星野が6位で、合算で6位となった。星野は「プレッシャーがないのは楽ですが、最終戦を格好悪いレースにはできません。せめて表彰台を獲得して気持ち良くシーズンを終わりたいです」と決勝での順位アップを誓った。
3時間レースのスタートは、13時38分に切られた。スタートドライバーを務めたのは浜野。最初に短いスティントを走り混雑する隊列から一度離れ、中盤以降にプロドライバーで追い上げを図るという戦略だ。スタートではポールシッターの#83アウディがミスを喫し、トップを奪った#81アウディがジャンプスタートのためにドライブスルーのペナルティを受けるという波乱。浜野は4位を守って走行し、24周目にピットイン。ここで星野に交代してピットアウト。いったん順位は7位に落とすも、43周目には4位へ順位を戻した。星野は42周を走り66周目にピットイン。そして最後のスティントを藤波に託した。 藤波は5位でコースに戻ると、他チームが2度目のルーティーンピットインをすることで70周目には4位、74周目にはトップを走行する#3 GT-Rを抜いて同一周回に戻して、さらに89周目には3位へ。88周目にピットインした2位の#3 GT-Rがコースに戻ると、藤波との差は5.5秒まで縮まっていた。そして藤波は95周目にこれを捕らえて2位浮上。終盤には追い上げて来た#81アウディにかわされたが、その#81アウディにはその直前の接触行為でドライブスルーのペナルティが課されたことで、藤波は再び2位に上がり115周でチェッカー。予選6位から着実に順位を上げて2位表彰台を獲得し、一年を締めくくった。
「ウェイトが重かったので表彰台に乗れるとは思いませんでした。最終戦ですから一年の集大成としてやろうと走りました。それなりの順位にとどまった予選から、チームの力で2位表彰台という結果が出ました。久しぶりにウェイトのない軽いクルマに乗りたいですね。今年はいい経験をさせてもらい学ぶこともできたので、やめられなくなりました。今年はチームに加えてもらって少し貢献できたかなと思うし、うれしいし誇りに思います」
「完璧なレースでした。今シーズンを象徴するようなレースでした。ずっと重いウェイトでSUGOを除く全部のレースで表彰台に乗って、富士24時間で勝って、70kgを積んだもてぎでミラクルな表彰台を獲得できて、最終戦も60kg積んでるから表彰台は厳しいかなと思っていました。それが2位表彰台なので、今年僕たちが強かったことの証明ができました。ノーミスで誇れる2位です。有言実行ができて良かったです」
「60kgのウェイトを積んで2位というのはすごいです。チームもメカもドライバーもミスなくレースをしましたし、SUGO以外の全戦で表彰台を獲得できました。特にメカさんたちのレベルアップが半端ではなかったと思います。去年はペナルティをもらったりミスをしたりぶつかったりで、今年シートをもらえるとは正直思っていませんでした。だからそれに応えたかった。今年チャンピオンを獲れなかったらレースをやめようと思っていました。これからもしっかりやっていきたいと思います」
「開幕戦の鈴鹿と富士24時間を勝てたのが大きかったです。開幕戦で優勝したことで最終戦までずっとウェイトを積むことになったので、ストレスのたまるレースが多くなりましたが、みんながバランス良く入ってくれたのが大きいかなと思います。GT-Rは15年モデルにバージョンアップして3年ですが、レース中にトラブルもなく走りきれました。S耐は腕を磨く場所として、そして見る楽しみのあるシリーズに成長するのであれば、来年も参戦を検討したいですね」